狂犬病は恐ろしい病気です。でも、そのことを多くのヒトが知って、また、多くの飼主が飼い犬に予防接種を受けさせれば、万が一の発生でも、大きなパニックは避けられるでしょう。実際の病気の怖さ以上に、狂犬病に対する、そしてイヌに対する恐怖心が膨らんでしまう事が最も怖い事です。そうならないようにするためには、自分と自分の飼い犬の問題として、飼主ご自身によく理解していただく事が、もっとも大切な事です
狂犬病とは
B悲惨な症状
感染したヒトは、意識はあるものの、強い不安感、のどの筋肉の痙攣による強い痛みが現れ(飲水や風を怖がる原因です。)さらには錯乱、全身痙攣が進んで、昏睡に陥り死亡します。
C予防法は1つ
万が一、狂犬病のイヌに噛まれたら、ワクチン注射(暴露後予防接種)を速やかに行なう事が、発症を防ぐ唯一の方法です。
D狂犬病が無い国は稀
隣国のロシア、韓国、中国でも発症があります。発生の無い国は、英国、豪州、ニュージーランド、ハワイなどの島国や北欧の一部の地域に限られています。毎年、世界で3〜5万人が死亡しているのが現実です。
E日本への侵入の機会はゼロには出来ない。
幸か不幸か、誰でも、どこにでも行けて、どこからでも、何でももってこられるのが日本の現状です。狂犬病を持ち込む危険の高いイヌ、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンクなどの特定動物には検疫を実施しています。一方、感染の危険性は低いとされていても、その可能性が捨てきれないその他の動物も大量に輸入されています。
飼主には、イヌは登録して予防接種する義務がある。
@国内で狂犬病が発生した場合に備え、身近でもっとも危険な媒介動物になるイヌにつ
いては、どこに、何匹飼われているか、行政は知る必要があります。それを知ること
で、いざと言う時に、迅速・的確な対応が可能になります。そのため「登録」が必要
なのです。
Aまた、発生があった場合、国内のイヌの70%がワクチンを受けていれば、大きな流
行は起きないとされています。そのためなるべく多くのイヌにワクチンを節腫する事
が必要で、義務づけられているのです。
狂犬病 rabies
病原体:狂犬病ウイルスrabiesvirus
好発年齢:特になし
性差:なし
分布:世界的に分布(一部の地域を除く)
狂犬病の背景
■疫学状況
●日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布する。
●キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ジャッカルなど、野生動物に感染サイクルが成立している。
■病原体・毒素
●ラブドウイルス科の狂犬病ウイルス。
●ウイルス粒子は砲弾型でエンベロープをもつ。ゲノムは(−)鎖RNA。
■感染経路
●通常は罹患動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。ヒトへの感染は終末感染。実験室感染では経気道感染もありうる。
■潜伏期
●平均30日(2週間〜1、2年)。
診断と治療
■臨床症状
●前駆期(2〜10日間)にはかぜに似た症状のほか、咬傷部位に掻痒感、熱感などの異常感覚がみられる。次の急性期には不安感、恐水症状、興奮性、麻痺、精神錯乱などの神経症状が現れ、2〜7日後に昏睡期に至り、呼吸障害により死亡する。
●急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身に拡がる例もあり(麻痺型)、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多く、死亡までの病期は比較的長い。
■検査所見
●抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液、血清)。蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜)。
■診断・鑑別診断
◎確定診断
●脳脊髄液や血清中抗ウイルス抗体の検出、皮膚、角膜などからウイルス抗原の検出。
●死後の診断では脳組織中のウイルス抗原の検出、あるいはウイルスの分離。
◎鑑別診断
●恐水症状などの定型的な症状を示さないケースがしばしばあり、症状や経過だけでは種々の神経疾患との鑑別が困難で、原因不明の神経疾患として死亡した患者の中に、死後の病理組織学的検査により狂犬病と診断されることがある。
■治療
●発病後の有効な治療法はない。
●罹患動物に咬まれた場合の治療として、ワクチン接種および抗ウイルス抗体の投与により発症阻止が図られる。
■経過・予後・治療効果判定
●発病後数日以内にほぼ100%が死亡する。
■合併症・続発症とその対応
●最終的には呼吸麻痺。
■2次感染予防・感染の管理
●通常はヒトからヒトへの感染はない(終末感染)。
●イヌ・ネコへのワクチン接種や輸入動物の検疫の強化。